メディア担当の方
程よい甘みと酸味が調和したパイナップルは世界中で愛されている果物の一つです。そのまま口にするのはもちろんのこと、ジュースやケーキなどにも使用されています。
さらに、近年の研究によってパイナップルには美容や健康を向上させる効果があることも分かってきました。今回は、パイナップルの美容と健康効果について詳しく解説します。
甘味と酸味があり、腹持ちもよいパイナップルは果物の中でも栄養価やカロリーが高めと思われがちですが実際はどうなのでしょうか?
まずは、パイナップルに含まれる栄養やカロリーについて詳しく見てみましょう。
日本食品標準成分表2020年(八訂)によれば、パイナップルには100gあたり13.7gの炭水化物、1.2gの食物繊維、150㎎のカリウム、11㎎のカルシウムが含まれているとのこと[1]。
炭水化物がしっかり含まれているため腹持ちはよいですが、食物繊維やミネラルも豊富なので便秘やむくみを改善する効果が期待できます。
また、ビタミン類も豊富で、特に多く含まれるビタミンCは肌に透明感をもたらし、コラーゲンの生成を促してしわやたるみを予防する効果も期待できます。さらに、パイナップルには肌の保湿力を高めるグルコシルセラミドが含まれていることも知られています[2] [3]。
パイナップルの100gあたりのカロリーは54kcalです。
オレンジ(48kacl)、りんご(56kcal)、ぶどう(69kcal)などのフルーツと同じくらいであることが分かります。
一方、菓子パン(高いもので349kcal)やポテトチップス(541kacl)と比べるとカロリーははるかに少なく、おやつなどにおすすめです[1]。
グルコシルセラミドは、肌のバリア機能を高める効果があります。
肌には多くの水分が含まれていますが、バリア機能が低下すると内部の水分はどんどん蒸発していくことになります。
グルコシルセラミドがバリア機能を高めてくれることで、肌内部に水分がしっかりパッキングされて潤いが続くと考えられています[3]。
今のところグルコシルセラミドの摂りすぎによって健康に害があるとの報告はありません。
また、医薬品の作用に何らかの影響を与えるとの報告もないため、普段からお薬を飲んでいる方でも安心して摂ることができます[4]。
グルコシルセラミドのバリア機能向上は、肌表層の角層が整うことにつながります。そのため、肌にハリが出てたるみやしわを改善してくれる効果も期待できます。
また、パイナップルに含まれるビタミンCは肌を支えるコラーゲンの生成を促す効果があります[3]。
ビタミンCは肌に透明感とハリをもたらす効果があり、美容のためには積極的に摂りたい栄養素の一つです。
水溶性ビタミンのため身体の中に蓄えておくことができないので毎日の摂取がポイントですが、摂りすぎても大丈夫なのでしょうか?
厚生労働省はビタミンCの一日の摂取量を100㎎と推奨しています[5]。
上述した通り、身体の中に蓄えられないため上限量は定められていません。しかし、下痢や吐き気、腹痛などの症状を引き起こすこともあるため極端な過剰摂取には注意しましょう[6]。
パイナップルは多くの食物繊維を含むため、腸内環境を整えて便通を改善する効果があります。
具体的な便通改善効果を見てみましょう。
パイナップルには食物繊維の中でも水に溶けない「不溶性食物繊維」が多く含まれています。
不溶性食物繊維は便のカサを増して大腸を刺激し、便通を促す効果があります。
また、食物繊維は腸内の善玉菌のエサになるため善玉菌の増殖を促す効果もあります。その結果、悪玉菌が減って腸内環境が整うことも便通改善効果の理由の一つです。
上述した通り、パイナップルは腸内環境を整えることに加え、大腸を刺激する効果もあることで高い便通改善効果を得ることができると思われます[7] [8]。
食物繊維は便通を整える効果があるため、便秘に悩む方は特に摂取したい栄養素といえます。
食物繊維は色々な食材に含まれていますが、摂りすぎても身体に影響はないのでしょうか?[8]
厚生労働省は食物繊維の一日の摂取量を男性21g以上、女性18g以上と推奨しています[5]。
上限量は定められていませんが、極端に多くの不溶性食物繊維を摂るとかえって便通が悪くなったり、お腹が痛くなったりするため注意が必要です。
パイナップルには美容や健康によい栄養素が多く含まれていることが分かりましたね。
毎日食べることで、ビタミンCによる美白・美肌効果や、ミネラルや食物繊維も豊富なためむくみや便秘解消の効果が得られます。その結果、肌のたるみや吹き出物などのトラブル解消につながることも期待できます。
パイナップルに含まれる栄養素の多くは身体の中に溜めておけないものなので、満足いく美容・健康効果を得るには毎日継続して食べることがおすすめです。
20~64歳の女性42名を対象に、四週間に渡って一日あたりパイナップル100gを摂取して美容や健康効果を検討した研究が行われました。
その結果、肌の潤いやハリを実感できたとの回答が優位に高かったことが分かっています。また、調査終了後に有意な悪玉菌の減少と善玉菌の増加が確認され、調査実施前後を比較すると排便回数・すっきり感・便量・排便日数ともに有意な向上が認められました[9]。
パイナップルには豊富な栄養が含まれ、高い美容・健康効果があります。
色々な研究でも効果の高さが報告されており、カロリーも低いためおやつや夜食におすすめです。
毎日の生活にぜひ取り入れてみて下さい。
〈参照〉
[1]文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)
[2]農林水産省「主な果物の健康機能性」
[3]鳥家 圭悟, 川嶋 善仁, 大戸 信明, 野嶋 潤, 池岡 佐和子, 田邊 瑞穂, 木曽 昭典.グルコシルセラミド含有
パイナップル果実エキスの美容効果.日本化粧品技術者会誌.2017,50(4),306-313.
[4]T Sugawara; T Miyazawa. Separation and determination of glycolipids from edible plant sources by
high-performance liquid chromatography and evaporative light-scattering detection. Lipids.
1999, 34(11), 1231-7.
[5]厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)
[6]厚生労働省『「総合医療」に係る情報発信等推進事業』 eJIM
[7]厚生労働省「腸内細菌と健康」
[8]厚生労働省「食物繊維の必要性と健康」
[9]増田 隆昌, 松原 明子, 石川大仁, 瀧本陽介, 積志保子, 堀田拓哉, 大滝尋美, 荒木雄介, 渡辺陽介,大澤 俊彦.
日本人女性におけるパイナップル摂取がもたらす腸内環境及び肌質改善試験ーランダム化単盲検並行
群間比較試験ー.New Diet Therapy. 2021, 37(1), 3-11.
青森県弘前市在住の医師。保健所勤務経験もあり、感染症や、母子保健など医療行政などにも精通している。プライベートでは2児のママ。趣味は旅行とスキューバーダイビング。
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青森県弘前市在住の医師。保健所勤務経験もあり、感染症や、母子保健など医療行政などにも精通している。プライベートでは2児のママ。趣味は旅行とスキューバーダイビング。
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