メディア担当の方
美容ラボ
2024.09.11
みなさんは、パイナップルに含まれるグルコシルセラミドはご存知ですか?
今回はこの「グルコシルセラミド」と、一般的によく耳にする「セラミド」とどう違うのかという点について、小柳先生に解説していただきました。
グルコシルセラミドとは肌の角質層に存在する保湿成分・セラミドにグルコースが結合した成分で、動物や植物の細胞膜を構成する脂質の一種です[1]。体内でセラミドに代謝されるため、肌のバリア形成に重要なセラミドの前の段階にある、いわゆる前駆物質となります[2]。身体に取り入れる方法としては、グルコシルセラミドが配合されている化粧品で外から補うこともできますが、さまざまな動植物由来の食品に含まれるため、食事により体内へ取り込んで内側からケアすることも可能です[3]。例えばパイナップル由来のグルコシルセラミドは、経口摂取により肌のバリア機能を高めることが確認されています[4]。
パイナップル由来のグルコシルセラミドとは、パイナップルの果実に含まれるグルコシルセラミドです。パイナップル由来のグルコシルセラミドは他の植物由来グルコシルセラミドと異なる構造を持ち、特徴的な生理機能を発揮すると考えられています[5]。
植物性のグルコシルセラミドはパイナップルのほかにも、米やトウモロコシ、こんにゃくなどに含まれています。これら天然の植物に含まれるグルコシルセラミドの組成は複雑で、それぞれの種で分子構造や構成が違い、ヒトへの影響も異なると考えられます[3]。
セラミドとは、肌の角質層の細胞間に存在する脂質の一種です。角質層のセラミドは、肌内部の水分の蒸発を防いで皮膚のバリア機能を高める役割があります[2]。セラミドは歳を重ねるごとに減少し、セラミドが不足した肌はバリア機能が低下するため、肌荒れを起こしたり乾燥肌になりやすいといわれています[6],[7]。したがって、セラミド源となるグルコシルセラミドの補給が大切だと考えられます。
肌の保湿力を高める機能が期待できるパイナップル由来のグルコシドセラミドの摂取量は1日1.2mg以上です[4]。生のパイナップルの場合は、1日80gの摂取が目安になります。80gは、パイナップル1個に対して1/6~1/10カット、四角くカットした場合は4~5切れほどなので、無理なく1日で食べられる量かと思います。また、たくさん食べればよいというものではありませんので、1日の目安量を守ってお召し上がりください。糖尿病や腎臓病などで食事制限がある場合は、かかりつけ医に相談してください。
なお、パイナップル由来のグルコシルセラミドは加熱しても効果は変わりませんが、ブロメラインなど一部の栄養素の効果は、加熱により失活する可能性があります。複合的に効果を取り入れたいのであれば、生食がおすすめです。
日本人を対象とした研究では、パイナップル由来のグルコシルセラミド1.2mgを含む食品を12週間摂取したところ、肌のバリア機能が高まることが報告されています[4]。これはパイナップル由来のグルコシルセラミドが、セラミドの合成を促進したり肌の保湿に関わる遺伝子群の発現を高めることで、肌の水分蒸散量が抑えられ肌のバリア機能を向上させたと考えられています[6]。
パイナップル由来のグルコシルセラミドは、生のパイナップルから美味しく摂取することができ、肌の保湿力を高めることが期待できます。
パイナップルは全国各地のスーパーやコンビニで、年間を通して購入できるので手軽にお試しいただけます。是非、毎日の食生活にパイナップルを取り入れてみてください。
[1] 菅原達也. "食品機能性成分としてのスフィンゴ脂質の消化と吸収." 日本栄養・食糧学会誌, 2013, 66, 4, p.177-183.
[2] 内田良一. "セラミドとその代謝産物の皮膚における役割." 生化学, 2017, 89,2, p.164‒175.
[3] 間和彦. "植物由来グルコシルセラミドの食品機能性評価とその応用." オレオサイエンス, 2007, 7, 4, p.141-149.
[4] 吉野進. "パイナップル由来グルコシルセラミド摂取による肌のくすみおよび乾燥を感じる健常日本人男女に対する皮膚機能改善効果―ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験―." 薬理と治療, 2015, 43, 11, p.1593-1600.
[5] 水野雅史ら. "植物由来グルコシルセラミド中のスフィンゴイドジエンの構造特性と皮膚改善機能." コスメトロジー研究報告, 2020, 28, p.140-147.
[6] 鳥家圭悟ら. "グルコシルセラミド含有パイナップル果実エキスの美容効果." 日本化粧品技術者会誌, 2017, 59, 4, p.306-313.
[7] 前田憲寿. "皮膚と化学—内と外の境界—." 化学と教育, 2017, 65, 2, p.84-85.
医療法人財団 青輝会 アオハルクリニック 院長 順天堂大学医学部1998年卒業。
著書『美肌の王道(日経BP社)』。
2011年から六本木の美容皮膚科「アオハル クリニック」院長(現在に至る)。美容皮膚科の草分けのひとり。
治療コンセプトに『ウェルエイジング(Well Aging)』を掲げ、単に加齢に抗うのではなくよりよく歳を重ねる「王道」を、患者とともに歩み続けることを信念としている。
「見た目の美しさにはカラダの中の健康が欠かせない」と訴え、男性・女性問わず、お肌の健康と美しさの改善・維持・向上を真剣に求める方々から、多くの共感をあつめている。
プロフィールを見る
医療法人財団 青輝会 アオハルクリニック 院長 順天堂大学医学部1998年卒業。
著書『美肌の王道(日経BP社)』。
2011年から六本木の美容皮膚科「アオハル クリニック」院長(現在に至る)。美容皮膚科の草分けのひとり。
治療コンセプトに『ウェルエイジング(Well Aging)』を掲げ、単に加齢に抗うのではなくよりよく歳を重ねる「王道」を、患者とともに歩み続けることを信念としている。
「見た目の美しさにはカラダの中の健康が欠かせない」と訴え、男性・女性問わず、お肌の健康と美しさの改善・維持・向上を真剣に求める方々から、多くの共感をあつめている。
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