メディア担当の方
たんぱく質分解酵素を含むパイナップル
その姿形だけでなく、味わいも香りもザ・トロピカルフルーツと言うにふさわしいパイナップル。スイーツやお料理に、使うだけで南国の雰囲気がぐんと高まる楽しい食材です。
独特の酸味や甘さの他に、特徴的なのはブロメラインというたんぱく質分解酵素を多く含むこと。これは、胃液の分泌を活発にし、消化を促進してくれるもので、さらに胃腸の炎症を鎮め、腸内の有害物質を分解する作用などもあると言われています。
一見するといいことずくめの酵素ブロメラインですが、付き合い方にはちょっぴりコツが必要です。
熱には弱いブロメライン
パイナップルに含まれるブロメラインは、お肉など、たんぱく質を分解する働きのある酵素です。ところが、熱には弱いという特性を持っています。
そのため、調理時に一緒に焼いたり煮込んだりしても、残念ながら効果は期待できません。酢豚にパイナップルを入れるのは、柔らかくするブロメラインの効果を狙ってというよりは、中国料理を西洋人の味覚でも食べやすくするための味の工夫だったと言われています。
ブロメラインの効果を期待したいなら、パイナップルの加熱時間をできるだけ短くすること。加熱しても、60℃以下を心がけることが必要です。
もっと積極的に利用するなら、肉などを加熱する前に果汁に漬け込むのがいいでしょう。例えば、BBQはオススメ。あらかじめパイナップルの果汁や、すりおろしを入れたタレに漬けておけば、肉の柔らかさも味わいもワンランクアップ。ちょっとした手間でトロピカル風の秘密の隠し味になります。
一個丸ごと買ったパイナップル。カットしたり、ジュースにしたりしても使い切れず、残りをゼリーにしようとして失敗してしまった経験はありませんか?
ブロメラインはたんぱく質を分解するために、ゼリーにしようとしても固まらないという特性があります。ゼリーの素となるゼラチンは、動物の骨や皮に含まれるたんぱく質から作られています。そのため、生のパイナップル果汁に混ぜると分解されてしまい、固まることができません。パイナップルでゼリーを作る時には、加熱したものや缶詰を利用しましょう。また、残ってしまった果肉は、そのまま冷凍してアイスパイナップルに。そのままでもスムージーにも利用できて便利です。
ちなみに同様な酵素を持つ果物にはパパイアやキウイフルーツ、いちじくなどがあります。やはり、熱を加えるなどして分解酵素の働きをストップさせてから使ってください。
参考資料
オールガイド食品成分表2017(実教出版)
パイナップルの歴史(原書房)
からだにおいしいフルーツの便利帳(高橋書店)
コピーワークをメインに、市場、店舗、研究開発機関など食の現場の取材、そこに関わる職人へのインタビューや構成から、シナリオ、小説などまで幅広く携わる。主な作品に「ブラウマイスターと職人」(webレポート)、「dancyuギフトカタログ」、ラジオ番組企画原案など。また、協会冊子オートキャンプハンドブックでアウトドアクッキングレシピなども紹介。NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)アカデミー会員。受賞歴は宣伝会議賞(佳作)、毎日デザイン賞(特選3席)、シナリオセンターグランプリ。現在、日本における自然農の理念を実践する田んぼにて修行中。
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