メディア担当の方
【管理栄養士監修】レジスタントスターチは腸活をはじめ、ダイエットにも役立つ効果があります。さらに食品の中でバナナが優れている理由を説明します。
レジスタントスターチ(酵素抵抗性澱粉、難消化性澱粉)とは「健康なヒトの小腸内で消化吸収されない澱粉および澱粉分解物の総称」と定義され、物理性・化学的性質からRS1~RS4の4つに分類されています[1]。
そして水溶性・不溶性食物繊維の機能を両方兼ね備える特徴があります[2]。
食物繊維と類似した生理機能だけではなく、特有の機能を持ち合わせます。
食物繊維と同様に、水を吸収し膨張させ排便量を増やし、大腸を刺激することによって排便回数が増すため、便通が改善されます[1]。
またレジスタントスターチは善玉菌の増殖や活性を促す「プレバイオテックス」の1つです。これらは腸内細菌により発酵を受け、短鎖脂肪酸を産生し腸内フローラ(腸内細菌群)のバランスを改善する生理機能を有します[1]。
水溶性食物繊維と同様に、胃から小腸への食物の移動速度・小腸における糖質の消化速度を遅らせます。その結果、小腸からのグルコースの吸収が緩やかになり、食後の急激な血糖値の上昇やインスリンの分泌を抑えることができます[1]。
水溶性食物繊維と同様に、中性脂肪や胆汁酸の吸収を抑えて排泄を促進し血中コレステロールと中性脂肪を低下させます。さらに、レジスタントスターチの発酵分解産物であるプロピオン酸や酪酸などが中性脂肪やコレステロールの代謝系に作用します[1]。
通常、脂質・たんぱく質・糖質の消化吸収は空腸で終わりますが、それら栄養素を回腸へ移行させる働きがあります。回腸で消化吸収された栄養素は、消化管ホルモンの一種であるグルカゴン様ペプチド-1、ペプチドYYの分泌を誘導します。前者はインクレチンとしての作用、後者は脂肪細胞ホルモンのレプチンと同様に視床下部で食欲を調整して摂食量を減少させる作用があります[2]。
レジスタントスターチは腸内細菌により短鎖脂肪酸とガス(水素ガス、メタンガスなど)へと変換されます。この水素ガスが活性酸素である体内のヒドロキシラジカルを消去したことから、生体内の酸化ストレスを軽減することが明らかになっています[2]。
レジスタントスターチは加熱すると減少してしまいますが、バナナは加熱せずに生のまま食べられる食材です[1]。
含有量は未完熟バナナの状態が高く、追熟と共にデンプンが分解されていきます[2][3]。そのため含有量と食味を考えるとグリーンチップバナナ(両端に緑が残る程度)の状態がおすすめです。
バナナは甘いため太るイメージがありますが、水溶性・不溶性食物繊維やレジスタントスターチが含まれているためGI値(血糖値上昇反応指数)が低く、消化吸収が緩やかになり太りにくい食品と言えます[4]。
そして最も重要なのは継続することです。含有量が高い代表的な食品である「穀類・生のじゃがいも・冷めた澱粉食」は現実的ではありません[1]。
その点バナナは調理をしなくて済む手軽さと、低価格で美味しく、1年中入手しやすいことから継続するには申し分ないでしょう。
このようにレジスタントスターチは食物繊維以上に影響を与えており、積極的に摂るべき糖質であることがわかります。腸活、改め「バナ活」で両方の恩恵を受けてみませんか?
<参照>
[1] 後藤勝. レジスタントスターチの開発. 日本家政学会誌. 2014, 65(4), 197-202.
[2] 海老原清. レジスタントスターチの栄養・生理機能. 日本調理科学会誌. 2014, 47(1), 49-52.
[3] 川端晶子, 澤山茂. バナナ果実の追熟による糖, 澱粉, 酸およびペクチン含量の変化について. 栄養と食糧. 1974, 27(1), 21-25.
[4] Fiona S Atkinson, Kaye Foster-Powell, Jennie C Brand-Miller. International Tables of Glycemic Index and Glycemic Load Values: 2008. 2008, 31(12), 2281-2283.
競泳・トライアスロン(中学2・3年の2年連続で全国1位)を続けてきた経験からスポーツ栄養に関⼼を持つ。
ライターとして主にトレーニング・美容・ダイエットに関する⾷事や、サプリ・グルメのカテゴリーを得意とする。
読者の悩みや疑問の解決、QOL の向上につながる情報を提供できる喜びをやりがいに活動を続けている。
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