メディア担当の方
待ちに待った遠足の前日。先生が持っていくおやつの限度額を発表すると、「バナナはおやつに入りますか?」と質問して先生を困らせる生徒が必ずいるといいます。どうやらバナナはお弁当の一部と考えていいのか、それともおやつとみなされてその分他のお菓子が買えなくなってしまうのかという、子どもにとっては大切な問題らしいのです。
この答えは先生方におまかせするとして、ここでは栄養学的におやつとバナナの関係について考えてみましょう。
大人になって体の成長が止まると、消費したエネルギーや新陳代謝などで失われた分の栄養を補給すればよいのですが、子どもはそれに加えて体の組織を新しく作って成長するための栄養をとらなくてはいけません。しかし、胃や腸などの消化能力はまだ充分ではないので、小学校の低学年くらいまでは1日3回の食事だけでは必要な栄養をとりきれません。
そこで大切になるのがおやつです。一般に2歳くらいまでは午前、午後の1日2回、3歳から小学校低学年くらいまでは午後に1回のおやつを食べるとよいとされています。量的には1日のエネルギー摂取量の10~20%が目安です。それ以上に食べすぎるとエネルギーのとりすぎになったり、肝心の食事が食べられなくなる心配があるので気をつけなくてはいけません。
次に問題になるのがおやつの中身です。おやつは1日にとる栄養の不足分を補うものですから、おなかを満たすだけでなく、栄養豊富な食品を選ぶことが大切です。とはいえ、おやつには子どもたちが楽しく過ごす時間を作るという情操的な意味もありますから、栄養だけを考えて子どもたちの楽しみをなくしてしまうのはかわいそうです。
そんなおやつの条件をばっちり満たすのがバナナです。バナナは遠足でも話題になるほど子どもたちが大好きなフルーツ。幼児でも簡単にむいてかぶりつけますし、口いっぱいに広がる甘味も人気の理由です。
また、栄養面ではでんぷんなどの糖質が活動量の多い子どもたちのエネルギー源になるだけでなく、ビタミンCや B1、B2 などのビタミンや、カリウム、マグネシウム、鉄、銅など、子どもたちの成長に必要な栄養素も豊富です。とくに豊富なカリウムは筋肉の運動などに欠かせない栄養素です。カリウムはバナナ1本(100g)には360mgほど含まれているので、これで3~5歳児の1日の所要量1100mgの約1/3をとることができます。
エネルギーの目安で考えると、たとえば3~5歳児の1日のエネルギー所要量は男子で1550kcal、女子で1500kcalですから、1回のおやつの目安はその10~20%の155~310kcalとなります。バナナ1本(100g)のエネルギーは86kcalです。これに、やはりおやつに必要な水分と食事でとりにくいカルシウムを補給するために牛乳200ml(134kcal)を組み合わせます。すると合計で 220kcalになりますから、条件にぴったりのおやつメニューになります。おなかをすかした子どもたちが家に帰ってきたら、バナナ1本と牛乳カップ1杯の最強のおやつで迎えてあげてください。
出版社勤務を経て、1985年に「もくば舎」を立ち上げ、主宰する。
各出版社(政界文化社、小学館、講談社、アスコム、
家の光協会などの単行本、MOOK、雑誌の特集記事などの編集に携わる。
同時にメーカーのPR誌の編集や商品コピーなども手掛ける。
昨今の健康ブームにより、「食と健康」をテーマとして扱う機会が多い。
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出版社勤務を経て、1985年に「もくば舎」を立ち上げ、主宰する。
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