抄録

【目的】バナナ（CAVENDISH種）は日本で最も多く消費されている果物であり、フィリピン等の亜熱帯地域で1年を通じて栽培されている。収穫された青バナナは、消費国へ輸出され、国内で熟成し出荷される。生産現地では、収穫されたバナナの一部は選果基準に達しないため、高い栄養価を有するにも関わらず、未利用資源として取り扱われている。我々は未成熟な青バナナの果実部から青バナナ末を調製し、利用方法を検討した。すなわち、青バナナ末を各種酵素・微生物等を用いて分解・発酵することで発酵青バナナ末を調製することに成功し、発酵青バナナ末がマクロファージ様細胞株に対し、TNF-α産生量増加や貪食能の向上などの免疫賦活効果を有することを報告してきた。本研究では、発酵青バナナ末がヒトの生理機能に及ぼす効果について検証を行った。
【方法】
ヒト全血を用いて、TNF-α産生試験を行った。ヒト全血に発酵青バナナ末添加培地を加えて培養した。培養後に回収した培養上清中のTNF-α濃度を、Human TNF ELISA Kitll（BD）を用いて測定した。
また、健常な成人を対象としたヒトボランティア試験を行った。発酵青バナナ末摂取前後で採血を行った。回収した血液中の免疫細胞活性の測定と、TNF-α等複数のサイトカインの解析を実施した。
【結果】発酵青バナナ末を添加した全血で、TNF-α産生量の増加が認められた。また、ヒトボランティアに対する試験で免疫賦活効果が示された。さらに、TNF-α等のサイトカイン産生能に与える影響について、in vivo試験の結果も併せて報告する。

発酵青バナナ末がヒト免疫細胞に及ぼす効果

キーワード
バナナ、発酵、免疫