メディア担当の方
バナナと聞いて誰もが思い浮かべるのは、ちょっと湾曲した円筒形の黄色い果物、
手軽な甘い果物としてそのまま生で食べるか、調理したとしてもスムージーやバナナケーキ、
プリンなどといったスイーツ用というのが、おおかたの認識だろうと思います。
ところが、世界にはなんと300種類以上もの品種のバナナがあるのです。
それらを大別すると、おなじみの「生食用バナナ(Table Banana)」と、
煮たり焼いたりして食べる「調理用バナナ(Plantain)」の2つに分けられます。
調理用バナナの主な品種には、[ツンドク]、[カルダバ]、[リンキッド]などがあります。
果皮が緑色のものが多く、果肉はかたく、イモ類に似ています。
皮をむいて焼くか、揚げるか、煮込みにします。
また、乾果をデンプンのような乾燥粉末にすることもあります。
このほかにも、果実を利用できる品種はたくさんありますが、ちょっと雑学的におもしろいところでは、南太平洋地域で原生し、フランスの画家ポール・ゴーギャンの作品にも多く描かれている[フェイバナナ]、果肉は食用にせず、種子が装飾用に利用される[アビシニアバショウ]といったバナナもあります。
日本ではあまり見かけない「調理用バナナ」ですが、世界の国々ではどんな料理に使われているのでしょう?
まず、インド。紀元前4世紀にアレキサンダー大王が遠征したとき、インダス川上流でバナナを発見したという記録が残るほど、バナナの歴史が古い国です。辛い料理にも甘い料理にも使われ、特にカレーとの相性は抜群です。バナナの葉っぱも、器代わりに使われます。南インドに旅行したことのある方なら経験があるかもしれませんが、ごはんと複数のカレー、副菜からなる「ミールス」と呼ばれるいわゆる定食が、よくバナナの葉っぱにのせられて出てきます。
バナナの原産地である東南アジアでも、バナナ料理はどこの国でもポピュラーです。例えば、インドネシアではピサン・ゴレンと呼ばれるバナナフリッターが有名ですが、マレーシアやタイでも、これと同じような揚げバナナ料理が供されます。
アフリカのウガンダやタンザニアでは、マトケ・アマニーゲ(Matooke amanyige)というマッシュしたバナナ料理が代表的。これは主食代わりにもなるものですが、ほかに肉や野菜などと煮込む料理にも使われています。また、中南米でもバナナの料理は多彩で、豚の皮の揚げたのを混ぜたモフォンゴをはじめ、揚げものや詰めものなどに大活躍です。
「調理用バナナ」は、日本ではなかなか手に入りませんが、フリッターなどは「生食用バナナ」の若いものでも応用できます。挑戦してみてはいかが? 病みつきになるかもしれません。
<参考資料>
バナナの歴史(原書房)
バナナ大学(日本バナナ輸入組合)
食材図典(小学館)
コピーワークをメインに、市場、店舗、研究開発機関など食の現場の取材、そこに関わる職人へのインタビューや構成から、シナリオ、小説などまで幅広く携わる。主な作品に「ブラウマイスターと職人」(webレポート)、「dancyuギフトカタログ」、ラジオ番組企画原案など。また、協会冊子オートキャンプハンドブックでアウトドアクッキングレシピなども紹介。NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)アカデミー会員。受賞歴は宣伝会議賞(佳作)、毎日デザイン賞(特選3席)、シナリオセンターグランプリ。現在、日本における自然農の理念を実践する田んぼにて修行中。
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コピーワークをメインに、市場、店舗、研究開発機関など食の現場の取材、そこに関わる職人へのインタビューや構成から、シナリオ、小説などまで幅広く携わる。主な作品に「ブラウマイスターと職人」(webレポート)、「dancyuギフトカタログ」、ラジオ番組企画原案など。また、協会冊子オートキャンプハンドブックでアウトドアクッキングレシピなども紹介。NPO法人FBO(料飲専門家団体連合会)アカデミー会員。受賞歴は宣伝会議賞(佳作)、毎日デザイン賞(特選3席)、シナリオセンターグランプリ。現在、日本における自然農の理念を実践する田んぼにて修行中。
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